閑話休題
■まだお正月気分なので、ちょっと気が楽になる話題を考えてみましたが、まず注目すべきは日本の国際経常収支が2023年に約25兆円の黒字を計上していることですね。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2023fy.htm
この黒字の大部分は35兆円の第一次所得収支、すなわち民間や個人が保有する海外資産からの利息や配当によるものであり、日本の対外純資産が世界トップクラスであることを示しています。
一方、中央政府の収支を見ると、普通国債残高は累増の一途をたどり、2024年度末には1,105兆円に上ると見込まれています。
https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
それでも国際収支全体が黒字である以上、日本国全体としては黒字といえます。これはもっぱら民間企業や富裕層個人のおかげでしょう。
さらに内訳を見ていくと、サービス収支が約2兆円の赤字で、ここを改善するためにはインバウンド需要の拡大やアニメ・ゲームなどのコンテンツ輸出の強化が大きなカギとなると思われます。https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2024/02/report_240221_01.pdf
政府が観光促進やクールジャパン施策を推進しているのは、この点では一定の合理性があると思います。
そして貿易収支がずっと赤字傾向にあるのは、企業が海外で現地生産をする流れが定着しているためで、国内回帰が難しい面はありますが、半導体メーカーが新たに国内工場を開業する動きには明るい兆しが見えます。
https://jp.wsj.com/articles/how-japanese-companies-are-benefiting-from-the-chips-battle-284a03b4
あとはスタートアップやイノベーションへのエンジェル投資を促進する税制が重要で、アメリカではエンジェル投資家に日本より優れた税制優遇措置があり、そのためイノベーションが強力に底上げされているといえます。
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/74232/hogaku0210201070.pdf
結論として、日本は大枠では良い方向に向かっており、少子化対策や国内のイノベーション強化に加え、インターネット回線のさらなる拡充などインフラ整備も進めていけば将来は十分に明るいでしょう。
例えばNetflixのような映像配信サービスを国内でより強化し、ソフトバンクの孫正義氏のような企業家がブロードバンドをさらに充実させるプロジェクトを手掛けてくれれば、一気に国内コンテンツ産業やデジタルビジネスが活性化するかもしれませんね