ブログ

2025-02-04 19:13:00

DeepSeekショック

2025年1月末の時点でアメリカの株式市場が大きく下落しています。ダウ平均株価は一時前日比で600ドル超の下落を見せ、NASDAQも大きく値を下げています。

この急落の背景には、中国のAIスタートアップ企業ディープシーク(DeepSeek)が発表した新しいオープンソースのAIモデル「R1」による衝撃があるようです。

このモデル、OpenAIのChatGPTと同等かそれ以上の性能でありながら、必要なGPUは半分ほど、コストは1/1000ですむという、画期的なものなんですね。これにより、特に半導体産業を中心に成長を続けてきたアメリカ市場に動揺が広がりました。

皆さんもご存知のように、アメリカの株価を押し上げてきた中心的存在の一つが半導体メーカーで、その中でもエヌビディア(NVIDIA)はAI分野での需要増に支えられて過去最高値を更新してきました。

しかし、エヌビディア製の先端半導体である「A100」やその後継モデルは、米国政府の輸出規制により中国への提供が制限されています。この規制により、中国市場には性能が約半分に抑えられた低性能なモデルしか流通していない状況です。にもかかわらず、ディープシークはその制約下でR1を開発し、ChatGPTと遜色ない性能を実現したわけです。

この結果、「AIモデルの開発にはエヌビディアのような最先端半導体が必ずしも必要ではないのではないか」という疑問が急浮上し、半導体株全般に影響を与えています。

とはいえ、実はディープシークが現在約5万台ものA100を保有しているとの情報も話題を呼んでいます。これは同社の創業者リャン・ウェンフェン氏がかつて設立したヘッジファンド「ハイフライヤー」による先見的な調達が背景にあると言われていますが、詳細は依然として不透明です。

この一連の出来事が示唆するのは、アメリカ市場がAIとそれを支える半導体産業に大きく依存している一方で、AIの進化においてはハードウェアよりもアルゴリズムや効率性が重要である、ということです。しかも中国は基本オープンソースで常にアルゴリズムを開示しているので、ちょっとした進化が一気に世界に伝播する可能性を示しています。

(意識高い系の人がよく使う、パラダイムシフトってやつですね。)