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2026-07-11 13:12:00

AIは文明総合の仕事量を増やす

■AIはプロを不要にするのではなく、プロを必要とする人を増やす、というお話です。先日、若い人と話していて、「今はAIがコードを書いてくれるけど、結局責任とる人が必要だよね。そこのところどうなの?」などと、意味不明な質問をしてしまいました(笑) その場ではうまく言語化できなかったのですが、少し考えて、言いたかったことが分かったので、書いてみます。

 

AI時代とは、やりたいことが「自分にもできそうだ」と思える時代です。アプリを作りたい、映像を作りたい、会社を始めたい。以前なら専門知識がないだけで諦めていた人も、AIに相談すれば、とりあえず最初の形までは作れます。「挑戦する人の母数が増える」ということで、これまでなら、アイデアがあってもプロに相談する前に諦めていた人が、自分で試作品を作り、「これなら本当にできるかもしれない」と検証くらいはできる。つまりAIは、これまで「存在しなかった依頼人を市場に連れてくる」のです。

 

そして、アイデアはその依頼人が趣味を越えた瞬間、プロが必要になります。アプリらしいものを作ることと、商売として運営することはまったく違うからです。個人情報は安全か、決済に失敗したらどうするか、不正アクセスを防げるか。障害が起きれば、原因を調べ、復旧し、利用者に説明しなければなりません。AIはコードを書いてくれますが、責任者にはなってくれませんからね。

 

米国の雇用予測によると、指示に従ってコードを書くいわゆる「コンピュータープログラマー」は2034年までに6%減る一方、設計、テスト、保守まで担うソフトウェア開発者や品質保証担当者は15%増えるとされています。仕事が消えるというより、単純作業から、完成と運営を担う仕事へ移るのです。

 

旅行も同じです。AIなら数秒で旅程を作れます。しかし、飛行機が欠航したとか、ホテルに予約が入ってなかった、となれば、欲しいのは追加情報ではなく、代替便を探し、最後まで面倒を見てくれる人です。医療でも、米国では2026年に医師の81%が仕事でAIを利用していますが、治療方針を決め、責任を負うのは今も医師です。AIは新たな治療法や論文をくまなく調べてくれますが、それは結局、専門家の道具になっただけであって、代わりにはなっていません。

 

もちろん、単純な作業だけを売ってきた人には厳しい時代でしょう。それでも、入口が広がれば、出口で待つプロの出番が増えるのは自明です。勢い、責任者の「人手」は足らなくなるでしょう。そして、もっと言えば、AI時代は人手を減らすのではなく、アイデアの実現可能性を高め、その結果、文明総合の仕事量を増やすのではないかと、思います。