ブログ

2025-02-21 13:22:00

不確実性の上昇

どうも気持ち悪いですね。現在の米国株市場は「不確実性の上昇」と「投資家の楽観」という相反する要素が共存しているように見えます。トランプ大統領の関税政策が市場の不確実性を高めて、不確実性指数(EPU)は2019年以来の高水準に達しているにもかかわらず、株式市場は上昇を続けています。これは、投資家が「関税は実施されるが、そこまで厳しくはならない」と楽観視していることを示しています。しかし、このような楽観バイアスは過去に何度も市場の急落を招いてきました。

特に懸念されるのは、VIX(ボラティリティ指数)先物の売り越しが16週連続で続いている点です。これは、投資家が「市場の安定が続く」と確信していることを意味しますが、過去のデータを見ると、こうした極端な売り越しの後には市場の急落が発生しやすい傾向にあります。例えば、2019年の米中貿易戦争の激化時や、2020年のコロナショック前にも、VIXの売り越しがピークを迎えた後に市場が大きく調整しました。

こうした状況では、リスク資産からの資金シフトを検討するのも有効な戦略です。具体的には、安全資産である金の現物や金のETF、国債などへの分散投資を進めることで、ポートフォリオの安定性を高めることができます。特に金は、地政学リスクやインフレヘッジの手段として注目されやすく、EPUが上昇する局面では買われる傾向にあります。また、債券市場もリスク回避の流れが強まれば需要が高まり、特に米国債などの安全資産が買われる可能性が高いです。

重要なのは、現在の市場が「関税リスクを正しく織り込んでいるのか」を冷静に判断することだと思います。もしもトランプ関税が予想以上に厳しく、または長引く場合、市場は急落し、リスク資産から安全資産への資金移動が加速するでしょう。現在の楽観ムードは結構ですが、金や債券といった安全資産を活用することで、リスク管理を徹底することが求められます。

(クリプト資産? そろそろかも、ですね)

2025-02-04 19:13:00

DeepSeekショック

2025年1月末の時点でアメリカの株式市場が大きく下落しています。ダウ平均株価は一時前日比で600ドル超の下落を見せ、NASDAQも大きく値を下げています。

この急落の背景には、中国のAIスタートアップ企業ディープシーク(DeepSeek)が発表した新しいオープンソースのAIモデル「R1」による衝撃があるようです。

このモデル、OpenAIのChatGPTと同等かそれ以上の性能でありながら、必要なGPUは半分ほど、コストは1/1000ですむという、画期的なものなんですね。これにより、特に半導体産業を中心に成長を続けてきたアメリカ市場に動揺が広がりました。

皆さんもご存知のように、アメリカの株価を押し上げてきた中心的存在の一つが半導体メーカーで、その中でもエヌビディア(NVIDIA)はAI分野での需要増に支えられて過去最高値を更新してきました。

しかし、エヌビディア製の先端半導体である「A100」やその後継モデルは、米国政府の輸出規制により中国への提供が制限されています。この規制により、中国市場には性能が約半分に抑えられた低性能なモデルしか流通していない状況です。にもかかわらず、ディープシークはその制約下でR1を開発し、ChatGPTと遜色ない性能を実現したわけです。

この結果、「AIモデルの開発にはエヌビディアのような最先端半導体が必ずしも必要ではないのではないか」という疑問が急浮上し、半導体株全般に影響を与えています。

とはいえ、実はディープシークが現在約5万台ものA100を保有しているとの情報も話題を呼んでいます。これは同社の創業者リャン・ウェンフェン氏がかつて設立したヘッジファンド「ハイフライヤー」による先見的な調達が背景にあると言われていますが、詳細は依然として不透明です。

この一連の出来事が示唆するのは、アメリカ市場がAIとそれを支える半導体産業に大きく依存している一方で、AIの進化においてはハードウェアよりもアルゴリズムや効率性が重要である、ということです。しかも中国は基本オープンソースで常にアルゴリズムを開示しているので、ちょっとした進化が一気に世界に伝播する可能性を示しています。

(意識高い系の人がよく使う、パラダイムシフトってやつですね。)

2025-01-14 10:48:00

フェムテックに注目

■米Forbesが選ぶ「次のユニコーン」25社(2024年版)というのが発表されました。意外だったのは、その2社にフェムテック企業が入っていたことですね。

米Forbesが選ぶ「次のユニコーン」25社(2024年版) | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

ミディ・ヘルス(Midi Health) 概要: 更年期障害に特化したオンライン治療を提供する企業。不眠や鬱病など、更年期に関連する症状を治療するプラットフォームを展開。50歳以上の女性たちが創業し、著名な女性投資家からも出資を受けています。


イクイップ(Equip) 概要: 摂食障害(拒食症、過食症など)に特化したオンラインセラピーを提供する企業。専門の心理学者や医療従事者と連携し、患者ごとにカスタマイズされた治療プログラムを提供。創業者自身の体験を基に設立され、保険会社との提携により幅広い利用者を支援しています。

フェムテック(Femtech)とは、女性(Female)と技術(Technology)を組み合わせ、女性特有の健康課題を解決する製品やサービスを指す言葉です。月経・妊娠・出産・更年期、摂食障害など、多岐にわたる領域で新しいサービスが登場し、注目を集めています。

ところで、日本でのフェムテックはどうなのでしょうか?気になったので少ししらべてみました。

日本の主要フェムテック企業

日本ではまだ黎明期といえるものの、エムティーアイ(9438)が提供する「ルナルナ」など、生理管理やオンライン診療の分野で知名度を高めています。また、メドレー(4480)は「CLINICS」で婦人科領域のオンライン診療にも対応。未上場ではフェムテック製品のECを展開するfermataや、更年期ケアを扱うTRULYなどが活動中のようです。

このようにフェムテックが躍進中なのは、女性の社会進出とダイバーシティ推進に加え、オンライン診療技術やAIが後押ししていることが大きな要因だと思われます。これまで軽視されがちだった女性の健康課題が、新たな投資対象としても注目されるようになり、市場は急速に拡大しているのです。

フェムテック市場は米国で先行しつつ、日本でも上場企業からスタートアップまでが参入し、裾野が広がりつつあります。今後注目していきたいと思います。

2025-01-11 13:09:00

閑話休題

■まだお正月気分なので、ちょっと気が楽になる話題を考えてみましたが、まず注目すべきは日本の国際経常収支が2023年に約25兆円の黒字を計上していることですね。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2023fy.htm

 

この黒字の大部分は35兆円の第一次所得収支、すなわち民間や個人が保有する海外資産からの利息や配当によるものであり、日本の対外純資産が世界トップクラスであることを示しています。

 

一方、中央政府の収支を見ると、普通国債残高は累増の一途をたどり、2024年度末には1,105兆円に上ると見込まれています。
https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
 

それでも国際収支全体が黒字である以上、日本国全体としては黒字といえます。これはもっぱら民間企業や富裕層個人のおかげでしょう。

さらに内訳を見ていくと、サービス収支が約2兆円の赤字で、ここを改善するためにはインバウンド需要の拡大やアニメ・ゲームなどのコンテンツ輸出の強化が大きなカギとなると思われます。https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2024/02/report_240221_01.pdf

 

政府が観光促進やクールジャパン施策を推進しているのは、この点では一定の合理性があると思います。

 

そして貿易収支がずっと赤字傾向にあるのは、企業が海外で現地生産をする流れが定着しているためで、国内回帰が難しい面はありますが、半導体メーカーが新たに国内工場を開業する動きには明るい兆しが見えます。
https://jp.wsj.com/articles/how-japanese-companies-are-benefiting-from-the-chips-battle-284a03b4

 

あとはスタートアップやイノベーションへのエンジェル投資を促進する税制が重要で、アメリカではエンジェル投資家に日本より優れた税制優遇措置があり、そのためイノベーションが強力に底上げされているといえます。
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/74232/hogaku0210201070.pdf

 

 

 結論として、日本は大枠では良い方向に向かっており、少子化対策や国内のイノベーション強化に加え、インターネット回線のさらなる拡充などインフラ整備も進めていけば将来は十分に明るいでしょう。

 

例えばNetflixのような映像配信サービスを国内でより強化し、ソフトバンクの孫正義氏のような企業家がブロードバンドをさらに充実させるプロジェクトを手掛けてくれれば、一気に国内コンテンツ産業やデジタルビジネスが活性化するかもしれませんね

2025-01-07 17:10:00

新年のご挨拶

新年のご挨拶と投資活動への展望

皆さま、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

私たちCREATEBANKSは、「Ideas Evolve into Value(アイデアが価値へと進化する)」という理念のもと、創造性とイノベーションを追求する企業です。これまで多くの方々とともに築いてきたパートナーシップに支えられ、2025年も新たな挑戦と価値創造に意慾的に取り組んでまいります。


投資活動を通じた未来づくり

私たちの投資スタンスは「単なる資本提供」にとどまりません。アニメ制作への出資、AI企業を中心としたスタートアップ支援、魅力的なイベントの開催など、各分野のクリエイティブな挑戦者たちとともに、未来を創ることが使命です。

昨今、世の中はAI一色ともいえる状況ですが、私たちはあえてその熱狂の裏側に目を向けています。AIの分野は、決して1つのアイデアだけで長期的に生き残れるほど単純な世界ではありません。AI技術は驚くほど流動的であり、その波を的確に捉え、柔軟にビジネスに転換していく力が求められます。そして、その中心にあるのは、社長や創業者のイノベーション思考、情熱、そして人間力です。結局のところ、テクノロジーの未来を切り開くのは「人」であり、私たちはその「人」にこそ出資をしたいと考えています。


スタートアップとの連携強化

2025年、私たちは特にスタートアップ支援に注力してまいります。
アイデアは素晴らしくとも、それを形にするためにはさまざまなスキルやリソースが必要です。私たちは、スタートアップが必要とする人材、スキル、物資を柔軟に結びつける橋渡しの役割を担い、彼らの成功を後押ししていきたいと考えています。

イノベーションにつながる興味のある分野での出資や投資活動を通じて、社会に新たな価値を提供する企業との出会いを創出します。また、魅力的なイベントやコミュニティを通じて、グロースを志す多くの人々が集う場を広げていく計画です。


イノベーションの未来へ

私たちはこれからも、「アイデアを価値へ進化させる」ことを追求し続けます。個々の才能が引き出され、持続可能な社会を実現するために必要な投資や支援を惜しみません。2025年は、未来を共に切り開く「パートナーシップ」をさらに強化する年にしたいと考えています。

新しい可能性を信じ、情熱と創造性を持つすべての挑戦者の皆さまと共に、次なるステージへ歩んでまいります。
私たちとともに、新しい価値創造の旅に出かけましょう。

本年もCREATEBANKSをどうぞよろしくお願いいたします。

CREATEBANKS
代表取締役 馬場隆博

1 2